メジャーリーグで大活躍中の大谷翔平氏が高校1年生の時に書いたとされる目標達成シートはあまりにも有名である。
この目標達成シートは、マンダラチャートだとかマンダラートなどとも呼ばれ、9×9=81マスの中に目標とそれを達成するための行動やマインドセットを書き込んでいくものだ。
私もマンダラチャートを使って中高年になってからの生活(ミッドライフ)の行動計画を作成したが、これがなかなか骨の折れる仕事で、いくつかのコツや思考力が必要だと感じたのでこの記事でご紹介したい。
この記事を読んでおられる諸兄は、おそらく情報収集ツールや思考ツールなどに造詣が深い方々ばかりだと思うが、釈迦に説法になることを承知の上で、基本的事項から順に確認させていただく。
マンダラチャートとマインドマップはよく対比されて語られることが多いのだが、この二つでは使い方と得られる効果はかなり異なると言える。
マインドマップはブレインストーミングで頭の中のものを吐き出し、その後に要素の構成をアレンジしながら作っていくのに対し、マンダラチャートでは構成は固定されているため、要素を絞り出す作業が中心となる。
この要素についても、一つ一つに具体性抽象性のレベル調整が必要なため、思考力が必要なのだ。
マンダラチャートを作っていて、私には行動を具体化させるためにはさらに一段深い階層が必要だと感じたため、普通9×9マスのところ、27×27マスの729マスマンダラチャートとなってしまった。私は個人的に「マンダラチャート729」と呼んでいる。
しかし、この頭の痺れるような思考整理手続きを3週間かけて行ったところ、確実に死ぬまで使える行動指針が出来上がったので、その効果には絶大な信頼を置いている。
実はこのブログサイトを立ち上げることになったのも、マンダラチャート729の成果である。
本記事ではマンダラチャートの基本的使い方から、具体的アクションプランとしての活用方法をご紹介するのでぜひ最後まで読んでいってほしい。
マンダラチャート(基本形)の作り方
基本的な使い方からご説明するが、「既知の情報に過ぎない」と感じる方は次の章まで読み飛ばしていただいても構わない。
基本チャートの作り方
マンダラチャートの基本形は上図のような9×9マスの正方形である。
マンダラチャートそのものは、思考ツールとしてスマホアプリなどでも販売されているが、エクセルやNumbersなどの表計算ソフトで簡単に作れるので、表計算ソフトの操作に抵抗感のない人はぜひ自分で作ってみてほしい。
- 中心に目標を置く
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最も大きな目標を一つ、中心マスに置く。
ここで例えば「Kindle出版で自分の本を売る」など、あまり具体的な目標を置いてしまうと、他の可能性を排除してしまうので、抽象的な目標設定がおすすめである。
- kindle出版で本を売りたい…なぜ?
- お金を稼ぎたいから…なぜお金がいる?
- 定年しても安心して暮らしたい…kindle出版しかない?今稼ぎたいのか、今後稼げるようになりたいのか?
- kindle以外でも良いが文章を書いて稼ぎたい、今すぐ大金は要らないが今後安定して稼げるようなスキルが欲しい
- つまり「定年しても文章で稼いでいきたい」
このように、なぜ?と自問自答していくと、本当に目指したいものが見えてくる。
- 目標を実現するために必要なことを周囲に置いていく
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大きな目標の達成に必要な要素を、周辺に置いていく。
8マスあるので、埋められないこともあるだろうが、ネットで調べたりしながら自分の目標達成に役立ちそうな情報収集も行いながら全て埋める。
この要素をさらに外側の9マスにそれぞれ対応させて配置する。
- 要素を達成するために必要な行動を書き起こしていく
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ブログ運営を行う場合に必要な行動を書き起こしていく。
しかしながら、この段階で既に具体的になってきたため、基礎知識がなければ埋められないことも多々生じる。
その場合、自分自身にその分野の知識が欠落していると考え、ネットや本などを活用して自分が何をしなければならないのかを洗い出す作業が必要である。
どうしても埋められない場合は空白にするしかないが、どんなこじつけでも構わないのでできるだけ埋めて欲しい。埋められないこと自体が勉強不足の証左であることは肝に銘じたい。
これを各要素ごとにやるのだから、とんでもない作業量である。
より具体的なアクションプランへ27×27マスのマンダラチャート729へ拡大
さて、これで基本的なマンダラチャートは完成した。
ネットで紹介されているようなマンダラチャートは大体この形である。
スマホの待ち受けにしたり、プリントアウトして壁に張り出したりして毎日眺めていれば、嫌でも自分のやらなくてはいけない事が脳に刷り込まれる。
しかし、私の場合チャートをさらに外側に拡大した。
基本形でも自分のすべきことは把握できる。
しかしこれでは、「いつ、どれを、どのようにやるのか」がイマイチ把握しきれない。
そこで、マンダラチャート729の出番である。
- さらに外側に要素を広げる
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外側にさらに9×9マスを広げた状態が上図である。
灰色のマス、青色のマスがそれぞれ元のチャートに対応している。
またあの作業が始まるかと思うとゲンナリするが、ここからが本番なので気をしっかり保ってほしい。
- 拡大マスの中央には自分の環境やイメージ、条件などを書き起こしていく
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中央の9マスは対応する要素がないため空白になるが、せっかくなのでこれからの行動を決めるための条件や希望、イメージなどを記しておくと考えがまとまりやすくなる(オレンジ色の部分)。
- すぐに実行に移せそうなアクションプランを埋めていく
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上図のように、具体的に何を行うのかを考えて埋めていく。ここではかなり具体的に考えた方が良い。
上図の例で言えば、ブログのジャンルを選ぶといっても適当に選べば良いわけではない。
ジャンル決定の際に考えなくてはならないことは山ほどあるだろう。
この部分は本当に勉強していないと絶対に埋まらない。
私の場合も、ここまでくるとどうしても埋められないマスができてしまった。
つまり、そこが自分のウィークポイントということなので今後の課題としている。
最終工程:ToDoリストに落とし込む
マンダラチャート729が完成した頃には、既に頭の中に具体的な動き方がインプットされているはずだ。
チャートの一番外側に枠には、あなたがすぐに取り組めるタスクが網羅されたことだろう。
数にすれば8×8×8=512個のタスクが生まれたことになる。
すぐにでも行動に移したい気持ちになると思うが、512個ものタスクをただ闇雲に取りかかることはできない。
そんなことをすればおそらくムリ・ムダ・ムラが発生する。
そこで、タスクをジャンル毎、各ステージ毎、タイミングや順番によって整理する必要がある。
一番簡単なのは取り組む順番にToDoリストに落とし込むことだ。
ガンチャートやカンバン方式に慣れていらっしゃる方はそちらを使ってもいい。
コレを終えたら次はアレ、と整理してしまえば、後は機械的にタスクを消化していくだけだ。
もし、タスクの中に「毎日ブログ更新をする」「各記事で読者のベネフィットに配意する」といった心構え的なものがあれば、別のリストに入れておけば良い。
マンダラチャートはマスを埋める工程に意味がある
マインドマップは構成要素を並び替えたり、紐づけたりすることにその本領を発揮すると私は考えている。
実際このブログ記事のように、ある程度の分量が予想される文章を打つときなど、私はマインドマップを多用し、文章のストラクチャを考えることに利用している。
一方で、マンダラチャートはマスを埋める工程に意味があると考えている。
8マスを必ず考えなくてはならないため、自分にとって未知の要素を見つけ出す作業が生じてくる。
また、適当に要素を思いついたとしても、各要素の具体性抽象性のレベルが合っていなければ、その後掘り下げた時にチャートがおかしなことになってくる。
マスを埋めるという簡単な行為には、情報収集、理解、取捨選択、分類、など多くの工程が発生している。
私がミドルライフのライフプラン作成に3週間も費やしたのはコレが理由だ。
しかしながら、チャート作成を通じて様々な要素を分析した結果、将来に向けてやるべきことがこれ以上ないくらいに明確化された。
今回の記事は、どちらかといえば中高年向きではなかったのかもしれないが、将来の事を本気で心配されている方、思考がまとまらず何から手をつけたら良いのかわからない方が見えたら、このチャート作成を試してほしい。
作り上げるにはかなりの忍耐と思考体力が必要となるが、今考えておけば、この先迷うことはなくなるはずである。